残念先輩って思われてますよ?
「あの私……」
「〇△不動産の方でしょ? 新人さんは大変ですね~どうぞ」
私があたふたとしていると、その女性からおしぼりを受け取った。
ふと、廣田先輩を目で追いかけると私の反対側の方に座っており、逢沢さんとそこに座った胸元が少し開いた女性がイケメンの廣田先輩を巡って静かに戦いの火ぶたが切って落とされているのが見えた。
「あの人のことが気になるんですか?」
私の視線の先を読み取って、私のそばにいる女性がグラスに氷を入れてお酒を注ぎながら私に聞いてきた。
「いえ、そんな私なんかがあの人のことを好きになるなんておこがましいです」
皆に提供するためにお酒の準備をしていた女性はピタっと手を止め、私を真っすぐ見る。
「冒険しましょう!」