残念先輩って思われてますよ?
見た目──もそうだが思慮深く、奥ゆかしい。動きもその一つひとつがどことなく可愛い。
その日の夕方の帰りの電車でスマホをいじっていたら俺に声を掛けてきた人物がいた。
俺は心の中でかなり動揺したが、ぐっと堪えて、彼女に返事をする。
聞くと俺より三つ前の駅らしく、彼女には大変申し訳ないがいつもの“テスト”をやってみる。近づいてくる女の人のほとんどは俺の最初の質問で何を狙っているのかがわかる。
そういった女の人は俺が見当はずれの事を言っても何でも「肯定」してくる──君はどうだい?
結果は「否定」だった。よかった……この子はやっぱり他の子とは違うかもしれん。
「お兄ぃ──好きな人ができたでしょ?」
俺の変化に気が付いたのは小さい頃から俺をずっと見続けている妹だった。
俺は必死に否定し、誤魔化そうとするが鋭い……、一週間くらいで観念して妹に気になる人ができたと白状した。
妹は一つ年下だが「未来の義姉」を心理分析すると息巻き始め。俺に彼女に対していくつか調べるように指示をされる。
まず彼女が好きなのものを知ること……。
いつも気にはしていたが、本当に偶々なのだが、彼女の待ち受けに有名なアニメの作品の主人公が待ち受けになっているのを見てしまった。
これも偶然だが俺もそのアニメの原作者が好きでおそらく趣味も共通する部分が多いだろう。
次にご飯か何かを奢った時の対応とその食べ方、反応をみること。
──満点だった。奢ると言われた後の本気で遠慮してる様。団子を心の底から頬張っている姿。その後の天然素材で出来ている可愛らしい性格と、一生懸命背伸びしようとしてるけどどう見ても頭の中が恐らく小学生か中学生くらいの恋愛レベル的な立振るい舞い。