残念先輩って思われてますよ?
電車を降りて多少歩いた。少し郊外にある外山さんの自宅はかなりの広さだ……。敷地がぐるっと高い塀に囲まれていて中の様子がわからない。
チャイムを鳴らすと、使用人の人が応対して中に招かれた。
大きな机と椅子が並べられている飾り気のない部屋に通され、席に座って待つよう使用人に勧められ、着席してこの豪邸の主を待つ。
ほどなくして、入って来た廊下の扉とは別の扉が開き、外山さんと思しき人物が入って来た。
すぐに席を立った先輩に遅れてあたふたと私も席を立ち深々と挨拶をする。
顔を上げると、もう席につき会話の用意を整えていた。
先輩は名刺を渡しに長いテーブルをまわり込もうとするが、手で制止される。
「いらん」
私はゴクリと唾を飲んだ。
「外山さまでよろしかったでしょうか? 私〇□不動産の……」
「当たり前だろう? 誰が呼んだと思ってるんだ?」
「はい? と申しますと?」
先輩が自己紹介を始めようとすると言葉を被せてきて不機嫌そうにしている。先輩はなぜ相手が不機嫌になっているのか理由を探ろうとするが取り付く島もない。