残念先輩って思われてますよ?

「なんだこれは?」


 外山さんは、バサッとテーブルの上に封筒を無造作に放り出す。

 先輩は「失礼します」と断りを入れて封筒から書類を取り出し、さっと目を通す。


「こちら……は確か隣街の物件ですね」

「先週、来た者がこの物件を勧めてきたが、お前も同じ意見か?」

「そうですね~、駅も近いですし日当たり良好と書いてますし……おススメの物件で間違いないです」

「行ったことがあるのか?」

「はい? いえ、この書類を見る限りでなんですが」

「自分で見てもないものを人に勧めるのか?」

「いや~、参ったなー、外山さんがどう思うか聞かれたから答えただけなんですけどね~」

「そうだな、儂は質問した『お前も同じ意見なのか?』と……」

「はい、それってどういう意味なんでしょう?」

「……ダメだ、帰れ。帰ってお前よりベテランか、廣田とかいう若造を寄越せと伝えろ」


 話し合いが終わった。

 そのまま、使用人の人に案内され、来た道を逆に戻っていき、屋敷の門を出たところで、先輩が屋敷の塀を蹴りつけて、私はビクッと体を震わせる。

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