残念先輩って思われてますよ?

「くそっ、なんなんだよ、あのじじいっ……偉そうにしやがって!」

「先輩、家の前ですよ?」

「うるせーっ……、ったくお前も全然役にたちゃしねー、何で俺だけあのじじいに怒られなきゃいけないんだよ」


 先輩はもう一度、塀を蹴りつけると、少し気が晴れたのか「行くぞ?」と言い、この場所から一刻も早く立ち去りたいのか無言で足早に駅へと向かい始めた。

 でも、態度は悪かったけど、あれって最初から怒ってたのかな? 何か試された気がしたけど……。



 
 先輩はその後も終始、不機嫌で一言もしゃべらず、会社へと戻って書類を片付け始める。

 私もパソコンを開きお手伝いをする。

 そんな私に逢沢さんが「ちょっといい?」と廊下に呼び出した。


「今日帰りに、駅の反対に新しくオープンしたカフェがあるんだけど一緒に行かない?」


 うーん、今日は結構、凹んでいて正直そういう気分ではないけど……、逆に今日の出来事を聞いてもらった方が気分展開になるかも。

 少し迷ったが、逢沢さんに「いいよ」と返事をして、少し遅くなるから、と待ち合わせ時間に余裕を持たせてもらった。

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