年の差十五の旦那様　外伝②～いつか、それが『愛』になる～
「ははっ、じゃあ、そういうことにしておきましょう」
「なんですかそれ！」

　アルロイさんはわかっていない。私がいかに人の恋慕に敏感なのかを！

　なんだったら、アルロイさんと想い人さんをくっつけることだってできるんだから。

「私が協力したら百人力ですから。アルロイさんと想い人さんをくっつけることなんて、簡単です」

　顔をプイっと背けて言うと、アルロイさんが大きな声を上げて笑い始めた。それも、腹を抱えての大笑いだ。失礼すぎる。

「残念ですが、遠慮しておきます。好きな人には俺の力で振り向いてほしいんで」

　彼は目元に浮かんだ涙を拭いつつ、真剣な声で宣言する。彼のその考えは、素直に尊敬するかもしれない。

「――と、そろそろ戻らないといけませんね。クレアさんはどうします？」

　胸元から時計を取り出したアルロイさんは、私に見せてくれる。

　あ、思った以上に時間が経っている。

「そうですね、私もある程度は終わったので、奥さまの元に戻ります。よっと」

　立ち上がってスカートの裾についた土を払う。その際に少しふらついてしまって。アルロイさんが慌てたように私を支えてくれる。
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