年の差十五の旦那様 外伝②~いつか、それが『愛』になる~
閑話1 リスター家に来たわけ(アルロイ視点)
◇◇◇
俺、アルロイがリスター伯爵家で働くことになったのは、縁のような偶然だった。
両親とは仲が悪いわけでもなく、仲がいいわけでもない。ただ、十八歳を迎えた頃から将来のことで意見が合わなくなり、俺は父方の叔父の家に身を寄せるようになっていた。
叔父は妻を早くに亡くし、二人の息子を男手一つで育ていた。俺は仕事で忙しい叔父の代わりに従弟の面倒を見ることを条件に、居候させてもらうことに。
顔を合わせると口喧嘩になることがわかっていたので、両親との交流は手紙のやり取りだけ。
不思議なもので、適度な距離を置いていると、そこまで腹が立たない。誕生日に贈られてきたプレゼントなども、素直に受け取ることができた。
そして、二十一歳を迎えたある日のこと。叔父が俺に一つの話を持ってきたのだ。
「お前、リスター伯爵家で住み込みの庭師にならねぇか?」
叔父は剪定道具を売る会社を経営しつつ、庭師の紹介業もやっていた。
元々自然が好きで、俺は庭師という職業にあこがれを持っていた。従弟たちと一緒に叔父に庭仕事を習ったことも何度かある。
が、今の俺では伯爵家の庭師になどなれるはずがない。そこまでの技術力を持っていなかったためだ。
「俺みたいなのが、伯爵家で庭師なんて務まるわけがないですよ」
だって、リスター伯爵家は辺境を管理している名門貴族。新米の庭師でしかない俺が働けるとは思えない。
「いや、お前ならいける。お前は植物に愛されているからな」
「なんですか、それ」
「勉強だと思って行ってこい。どうしても無理だったら、俺に連絡寄こしな」
叔父は軽い言葉で俺を送り出した。
どうせ俺なんて使い物にならないだろう。一ヶ月も経たずにクビを宣告されるに違いない。
(もちろん、やるからにはしっかりとやるつもりだけど)
こうして俺は、リスター家で住み込みの庭師になることが決まったのだ。
俺、アルロイがリスター伯爵家で働くことになったのは、縁のような偶然だった。
両親とは仲が悪いわけでもなく、仲がいいわけでもない。ただ、十八歳を迎えた頃から将来のことで意見が合わなくなり、俺は父方の叔父の家に身を寄せるようになっていた。
叔父は妻を早くに亡くし、二人の息子を男手一つで育ていた。俺は仕事で忙しい叔父の代わりに従弟の面倒を見ることを条件に、居候させてもらうことに。
顔を合わせると口喧嘩になることがわかっていたので、両親との交流は手紙のやり取りだけ。
不思議なもので、適度な距離を置いていると、そこまで腹が立たない。誕生日に贈られてきたプレゼントなども、素直に受け取ることができた。
そして、二十一歳を迎えたある日のこと。叔父が俺に一つの話を持ってきたのだ。
「お前、リスター伯爵家で住み込みの庭師にならねぇか?」
叔父は剪定道具を売る会社を経営しつつ、庭師の紹介業もやっていた。
元々自然が好きで、俺は庭師という職業にあこがれを持っていた。従弟たちと一緒に叔父に庭仕事を習ったことも何度かある。
が、今の俺では伯爵家の庭師になどなれるはずがない。そこまでの技術力を持っていなかったためだ。
「俺みたいなのが、伯爵家で庭師なんて務まるわけがないですよ」
だって、リスター伯爵家は辺境を管理している名門貴族。新米の庭師でしかない俺が働けるとは思えない。
「いや、お前ならいける。お前は植物に愛されているからな」
「なんですか、それ」
「勉強だと思って行ってこい。どうしても無理だったら、俺に連絡寄こしな」
叔父は軽い言葉で俺を送り出した。
どうせ俺なんて使い物にならないだろう。一ヶ月も経たずにクビを宣告されるに違いない。
(もちろん、やるからにはしっかりとやるつもりだけど)
こうして俺は、リスター家で住み込みの庭師になることが決まったのだ。