年の差十五の旦那様 外伝②~いつか、それが『愛』になる~
あれから、気が付いたらクレアさんを探すようになっていた。
彼女は執事のサイラスさんと仲がいいらしく、よく親しげに話している。サイラスさんと話す彼女は等身大で、すごく愛らしい。
(彼女は年上が好きなのかな……)
不意に胸の中に芽生えた疑問。誤魔化すように首を横に振った。
別に彼女が年上が好きだろうと、問題ないだろう。俺には関係ない――と思って、胸がずきんと痛んだ。
理由はよくわからない。彼女には憧れのような感情を持っているけど、それだけ――のはず。
「俺は彼女に憧れているだけだ」
周りを照らす太陽のような笑みに憧れている。
俺のモヤモヤとか、鬱憤を晴らしてくれるような笑みに憧れていた。
この気持ちは決して恋じゃない。恋をしたところで、俺は――。
(俺にはたくさんの枷がある。彼女が好きなら余計にあきらめるべきで)
なのに、心は彼女の笑みを求めていた。自分にだけ向けてほしい――なんて感情も徐々に膨れ上がっていく。
自分でも思う以上に、どうやら俺は嫉妬深く、独占欲が強かったようだ。