年の差十五の旦那様 外伝②~いつか、それが『愛』になる~
第6話 デートしてください
 使用人専用の休憩室にて。私は料理人の試作品だというクッキーをつまみつつ、新聞を開いていた。

 別になにか目的があるわけじゃない。ただ、なにかめぼしいニュースとかないかなぁって見ているだけ。

(奥さまの気分を少しでも紛らわせたいもの)

 本来の私は新聞なんて全く読まない。けど、奥さまの退屈を紛らわせたりするための話題探しが必要だった。

 最近話題が尽きているのだ。

「へぇ、新しい劇場かぁ」

 新聞には新しい劇場がオープンしたというニュースが大々的に載っていた。

 その劇場の本部は王都にあって、二つ目を辺境に建てたということだ。しかも、リスター領だった。

(そういえば、旦那さまは最近領地の娯楽施設を増やしていらっしゃったわね)

 領民たちの楽しみを作りたいと、いろいろな娯楽施設を誘致していたはず。

 もしかしたら、この劇場もその一つなのかも。

「気になる……けど」

 絶対に人が多いし、この街に行くとなると一日仕事になる。そもそも一人で行く勇気なんてない。

(観劇できたら、奥さまに感想を言えるんだけど)

 双子の妹のマリンを誘おうか? いや、その前にチケットとか簡単に手に入らないだろう。

 こういうの、倍率すごいんでしょ?

 新聞を閉じて大きくため息をつく。
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