年の差十五の旦那様 外伝②~いつか、それが『愛』になる~
「どういうお話をしたら、奥さまは楽しんでくださるかなぁ」

 テーブルに頬杖を突いて大きくため息。

 そんなとき、休憩室の扉が開いた。ハッとして顔を上げると、そこにはアルロイさん。

「あ、いたいた」

 アルロイさんは私を見て嬉しそうに笑みを浮かべた。

 ……私を捜していたんだろうか?

「私を捜していました?」

 小首をかしげて問うと、アルロイさんは大きくうなずく。

 私から見て対面の椅子に腰を下ろして、彼は身を乗り出した。

「今度の土曜日、時間はありますか?」
「土曜日、ですか?」

 ついつい聞き返した。彼は気を悪くする様子もなくうなずく。

「時間があるというか、予定はないですね」

 その日は休日だ。

 仕事の日程を頭の中に浮かべて、私がつぶやく。

「そうですか。……あの、よかったら一緒に出掛けませんか?」

 けど、彼の言葉は予想もしていないものだった。

 一緒に出掛ける? 私とアルロイさんが?

 私が怪しむような表情をしたためか、彼は目の前で手をぶんぶんと横に振る。まるで害はないと言いたげだ。

「別になにか企んでいるわけじゃないですよ。ただ、クレアさんと一緒に出掛けたいなぁって思いまして」

 早口だった。企んではいないだろうけど、なにか思うことがあるんだろう。
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