年の差十五の旦那様 外伝②~いつか、それが『愛』になる~
第3話 ポイントが高い
 奥さまが管理するスペースは本当に広い。ここにいらっしゃったばかりの頃は、もっと小さかった。

 それがあれよあれよという間に広がって、今にいたる。

(あの頃はまさかこんなことになるとは思わなかったわよね)

 私たち使用人は奥さまと旦那さまを結ばせようとしていた。けど、あの女性嫌いを拗らせた旦那さまのことだ。あんまり上手くいかないかなぁと心の底では思っていたのに。

(今となってはとっても仲睦まじいのよね)

 跡継ぎであるリッカルドさまも生まれ、二人目もご懐妊。周りから見ると理想の夫婦なんだろうなって。

「クレアさんって、奥さまの専属をされて長いんですか?」

 場にしゃがみこんだアルロイさんが問いかけてきた。声音からして世間話の一環だろう。

「私は奥さまがいらっしゃった頃から、ずっと専属として仕えていますよ」

 あの頃の奥さまはどこか儚げで、なにもかもをあきらめていらっしゃる様子だった。

 だから、今の幸せそうな奥さまを見ていると本当に嬉しい。
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