年の差十五の旦那様 外伝②~いつか、それが『愛』になる~
「へぇ。俺、まだここにきて日が浅いので。そこまで奥さまと交流がなくて」

 そっか。アルロイさんが来たのって、奥さまのご懐妊が発覚してからだったものね。

「とっても素晴らしいお人だって言うのは、聞いています。使用人たちのこともよく見てくれているって」
「そうですよ! 奥さまってとっても素晴らしいんですよ!」

 ついつい言葉に熱がこもった。アルロイさんがぽかんとして私を見る。

 少しして、彼は頬を緩めた。

「師匠たちも、みんなそう言います。いつか一度お話してみたいのです。使用人の分際では、難しいでしょうか?」

 アルロイさんの笑みはちょっと困ったようなものだった。

 まぁ、お貴族さまって基本的に使用人とあんまりお話をしないものね。

「うーん。ご体調が落ち着かれたら、大丈夫だと思いますよ。特に庭師の人とはお話していますし」

 奥さまは侍女やメイドのほかだと、庭師の人と話すことが多い。内容は庭の管理が主。あと、次のシーズンに植えるお花の話とか。

「――っと、スペースのチェックのほう、お願いしますね」

 私に視線を向け、アルロイさんはニコッと笑った。

 そうだ。ここに来た目的をすっかりと忘れてしまうところだった。
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