それは麻薬のような愛だった



「何度も言うが俺はお前の側に居たい。…お前が好きだ」


予想もしていなかった告白に、止まっていた涙がまた溢れてくる。

嬉しかった、どうしようもなく嬉しくて堪らない。


「でも、私…」


けれどどうしても、心の奥の不安が拭えない。


「…俺が信用出来ないか」
「違うの。そうじゃなくて…」


気掛かりなのは、妊娠の事。

雫には誓って後ろめたい事は何もないが、信じてもらえるのか不安でたまらない。

何度も言おうとしては言い淀む雫の様子を見て、伊澄は頭を落として自分の額と雫のそれを触れ合わせた。



「…俺はお前をずっと傷付けてた。だからどんな酷い言葉だって受け入れる」
「……」
「最低のクソ野郎の俺をお前は好きだと言ってくれたんだ。俺もどんなお前だって好きでい続ける。だから、言ってくれ」
「……っ、」


不安が全て拭えた訳ではない。

けれどもしかしたら、今の伊澄なら、信じてくれるかもしれない。


「いっちゃん…あのね、」


震える声で顔を上げれば、見た事も無いほどの優しい目で見つめられまた泣きそうになった。




「妊娠…したの」





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