それは麻薬のような愛だった
告げた後、雫は強く目を瞑った。
どんな言葉がくるか怖かった。
漸く心が通じ合ったのに、また離れるのか。
それかもっと酷い事になるかもしれない。
伊澄の言葉が返ってくるまでの時間が永遠かのように感じ、生きた心地がしなかった。
「…マジか」
「…っ」
ビクリと体が震える。
やっぱり、信じてもらえないだろうか。
「えらい早かったな」
しかし返ってきたのは、伊澄のあっけらかんとした口振りだった。
「………は?」
「まああん時ゴムしなかったし、もしかしたらとは思ってたけど…。やっぱり俺ら相性イイみたいだな」
ゴムシナカッタ?アイショウイイ?
まるで知らない国の言葉でも聞いてるかのような感覚に陥ったが、それは後で詰めるとして、だ。
「…えっと、疑わないの?」
「何を」
「その…他の人の子どもじゃないか…とか」
「は?ねえだろ」
天地がひっくり返っても有り得ないみたいな顔をして言いのける伊澄に、少しムッとした。
そこまで断言されると、それはそれで複雑だ。