それは麻薬のような愛だった
「お前言ってたろ、俺以外とはセックス出来ねえって」
「……え、」
「まあ覚えてないってのは知ってたけどな」
覚えてない。
伊澄にそんな事言った記憶は無い。
まさか、酔っ払った勢いでポロッと漏らしてしまったとでも言うのか、こんな大事な事を。
放心していると腰に回されていた手が背中に流れ、そのままグッと引き寄せられる。
「あん時、お前をそこまで追い詰めてたんだって知って、自分が許せなかった。どの面下げて彼氏面しようとしてんだって…自分を殺したくなった」
「……」
「…けど不謹慎だけどよ…同時に嬉しくもあったんだ。体だけとはいえ、俺だけが許されてるんだって。…お前が、俺だけのモンなんだって」
優しかった腕に力が入り、伊澄の心音が大きく聞こえるほどに強く密着した。
「…それならいっそ、全部手に入れたいと思っちまって…避妊しなかった」
どこまでもクソ野郎だよ、と伊澄は顔を歪めながら自嘲気味に言い、雫の首筋に顔を埋めた。
「…こんな俺を許してくれるなら、子どもは二人で育てたい。……雫に、愛してるって言える資格が欲しい」