それは麻薬のような愛だった




「杜川って意外と良い体してるよな」


高校二年の頃だったか、相も変わらず雫の気持ちを利用してクソみたいな関係を続けたいたある日、当時よく共に行動していた内の一人が何かの話からそう言った。


「杜川って誰?」
「あーあの地味な」


自分のように目立つ中にいれば当然寄ってくるのは自分に自信のある華のある女達。
それ故に雫は周りからは大体そんな評価だった。


「なんか食指が動くっていうの?フレンチとかイタリアンばっか食ってたら白米が恋しくなるっていうか」
「お前それ、色んな方面に失礼だから」
「まあ言い方はアレだけど、言いたい事は分かる」


よく見たら可愛いんだよ、と誰かが言った。

派手ではないが色白で目は意外とぱっちりとしており、小さな鼻や口は可愛らしいと表現するにはピッタリだ。
またメイクも知らない幼い顔立ちの割に体の凹凸はしっかりしていたのも要因の一つだろう。


「彼氏とかいるのかねえ」
「未経験でああはならねえだろ」
「経験豊富な天城クンはどう思う?」


その時自分はどう答えたか。
恐らく下らないとか興味ないとかを吐き捨てただろう。

雫の彼氏の有無なんてどうでも良かった。
居ようが居まいが、自分が呼び出せば簡単にヤレる、そんな程度の認識だったから。



そんな雫と袂を分かったのは高校卒業時。


切り出したのは雫の方からだった。






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