それは麻薬のような愛だった
「…本当、今更だな」
今更足掻こうというのか。
もう雫の心は自分に無いと言うのに。
ずっと彼女はこんな気持ちだったのだろうか。
手に入らないものに手を伸ばしても掴めず、それどころか突き放されてそれでも尚ずっと僅かな期待に縋ってきたのか。
ーー男の傷は男で癒す。
そうなっても仕方ない。
雫に男が居たところで責める資格など欠片も有りはしない。
それでも今、雫がまだ自分の誘いに応えてくれる今、彼女を諦め離れる事なんて耐え難かった。
それならばみっともなく足掻いてやろうと決めた。
雫が自分を拒絶するまで。