それは麻薬のような愛だった
「…は?」
初めて目の当たりにした男の影にカッとなった自覚はあった。
直ぐに電話をしたが出ない、就業時間を終えて再び電話をしてもラインをしても一切の反応も見せない。
信じられない程の焦燥に駆られもう何度目か分からない電話をかけた時、漸く雫の声が聞こえた。
『はーい、もしもしー』
気の抜けた応答をする雫に若干の殺意を感じたのは言うまでもない。
気分じゃないと言う雫を無理矢理自分の自宅へと来るように言い、エントランスまで降りて到着を待った。
それなりに近くに居たようで程なくして姿を見せた雫は完全に出来上がっており、こんな状態で男を誘惑していたのかと思うと更に頭に血が昇って勢いのままに部屋に押し込んだ。
わっと短い悲鳴を上げながら転んだ雫の顔を鷲掴みにしら、これでもかと睨みながら言う。
「テメー…俺の連絡フルシカトしやがって。合コンてなんだ、言い訳があるなら言ってみろこのクソビッチが」
どの口がと自分でも思うが冷静さを忘れた頭は止まる事を知らない。
案の定伊澄には言われたくないと言われ、更に不細工な顔にしてやった。
けれど次の瞬間に発した言葉に、天地がひっくり返るような衝撃を受けた。
「だって私、いっちゃんとしかえっち出来ないし」