それは麻薬のような愛だった
土曜の朝に事務所へ戻り報告や諸々の仕事を片付ける。
都内へ帰ってきた際に直ぐに雫へは連絡を入れており、週末が休みの雫はいつもなら土日は割とすぐに返事が返ってくるのだが今日は一向に返事は来ない。
ラインの通知が鳴って雫かと思って見るも、同期のグループラインが昨晩自分が出張で断った飲み会の礼を言い合ってるだけのものだった。
仕事関係の連絡さえなければ通知を切っているところだ。
チッと舌打ちをして雫とのトークを開くも既読すら付いていない。
連絡無しで家に行くのは初めてだが、妙な胸騒ぎがして早々に職場を後にして雫の家へ向かった。
嫌な予感は当たり、雫は見た事ない程に青い顔をして伊澄を出迎えた。
抱き抱えた時の異様な軽さにいつからきちんと食事が摂れてないのかと血の気が引いた。
その後雫をなんとか眠らせ荒れた部屋を片付ける。
雫はそれほど整理整頓が得意では無いが、それでも必要最低限の家事はしている。
特に乱雑さを嫌う伊澄の事を考えてか、掃除だけは丁寧にしていた。
それがこうなる程に弱っているのかと思うと酷く胸が痛んだ。