それは麻薬のような愛だった
病院に行ったと言うが本当だろうか。
単純に風邪を拗らせただけでああなるとは到底思えない。
週明けに有給を取って首根っこ掴んでも病院にらかからせようと決め、今はせめて何か食べさせなくては思い冷蔵庫を開けるが当然の如く何も無い。
炭酸水だけは幾つかストックがあるようだが、これで食欲を誤魔化してきたとでもいうのか。
ーーいや、待て。
ふと思いとどまり、一つの可能性が頭を過ぎる。
女の身体のことはよく分からないが、それについての一般常識位は心得ているつもりだ。
青い顔に食欲不振、これまで口にしているのも見た事が無いような炭酸水のストック。
「雫、お前…」
ベッドで眠る雫に目を向けながら静かに呟いた。