それは麻薬のような愛だった
酔った日の真実を告げれば目を泳がせて動揺する雫の姿が可愛くあまりに愛おしく、腰に置いていた腕に力を込めて抱きしめた。
心のうちを全て曝け出して、素直に口にした。
目の前の女が手に入るなら、プライドなんてクソ程にどうでも良かった。
「雫に、愛してるって言える資格が欲しい」
許されないことなど分かっていた。
散々傷付けておいて、さらにその上自分の欲望のままに縛り付けようとしたのだ。
昔のように好きでいてもらえる価値など無い。
全部分かった上での言葉だ。
許しを乞う唯のみっともない男を、彼女は愛してくれるだろうか。
しかしそんな不安を拭うかのように、雫から優しいキスをされた。
「…言ってよ、いっちゃん。私、いっちゃんが私のものになってくれたって、思いたいの」
そう言った雫の瞳には、かつて感じていた熱を感じた。
愛しくてたまらない女からのキスがここまで幸せなものかと初めて知った。
泣きたくなるような幸せに、思うままに貪るようなキスをした。
心が、身体が、これ以上ない程満たされていく。
何度も愛しい名前を呼び、何度も唇を奪った。
雫の手が伸びて彼女の意思で抱き着いてくれた時は、あまりにの幸福感で意識が飛びそうになった。
そうして長い口付けを交わして名残惜しく唇を離しーーー伊澄は漸くその言葉を口にした。