それは麻薬のような愛だった


「彼女美人って凄い評判なので、結構知れ渡ってますよ」
「ヘー」

既に興味を失っているらしく、目線は手元の資料を向いている。


彼は知らないだろうが、美人の受付嬢が天城にアプローチをかけていると聞いた時、今度こそはもしやと話題になっていた。

彼女も私と同じ中途入社組なのだが、話によるとこれまで何度か転職をしており毎度職場の既婚男性と不倫騒動を起こしてきた手練らしい。
親が結構な有力者らしくその度に揉み消しており、そのせいか本人には全く反省の意思が見えない。

彼女の美貌は誰もが知るところだし、そんな歴戦の猛者にかかれば流石の天城も陥落するのではないかと噂されていたのだが、この通り見事な玉砕である。


「天城さんの奥様ってどんな方なんですか?」



これは純粋な興味だ。誓って下心はない。
誰だって気になるに決まっている。

一体どれほどの女性なら、この難攻不落の要塞を落とすことが出来るというのか。









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