それは麻薬のような愛だった









「ひえ…」


エレベーターに取り残された私は、そんな間抜けな声を上げながら腰を抜かして床に座り込んだ。



なんて顔をするんだ、あの人は。

未だ余韻を残した心臓はドクドクと煩く音を立てており、私は思わず両手で熱の籠った顔を覆った。



…でもこれで分かった。
仮面夫婦でも、エア奥様でも無い。

あの人は本当に、心からパートナーのことを愛しているんだ。





あの天城伊澄にあれ程の表情をさせる女などーー確かに、麻薬と表現する以外何物でも無かった。






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