寵愛の姫 Ⅲ【完】



「うん?」


「もう、出る時間だ。」




ちらりと時計に視線を向ける。



そろそろ、家を出るには良い時間だ。





それに、このままいたら、ベッドに莉茉を押し倒しちまうからな。



転向初日に、それは可哀想だ。


「…………うん。」



途端に不安そうな顔になった莉茉が、俺の服の裾を掴む。



「………。」



……全く。



何で、俺の裾を掴むんだよ。
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