寵愛の姫 Ⅲ【完】



「……莉茉。」


「うん?」


「違うだろ?」



俺の目線の先は、莉茉の手。



「違う?」



そんな俺の視線に、不思議そうな表情を浮かべた莉茉は、首を傾げた。



「ちゃんと、こうやって俺の手を握れよな?」



俺の服の裾を掴む手を取り、自分の手と握り直せば、目を丸くさせる莉茉。




「っ、うん。」



次の瞬間、莉茉が嬉しそうに微笑んだ。
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