寵愛の姫 Ⅲ【完】


「莉茉、お前は俺の女だろ?」


「っ、うん。 」



照れる。


目を泳がせる私の頬を、暁の手が撫でた。



「俺達の世界では、組長、若頭の女を姐さんと呼ぶ決まりだ。」


「そうなの?」


「あぁ。」




そこで暁が頷く。



「言わば、通り名だな。」


「通り名…。」


「お袋も、親父以外には姐さんって呼ばれてるぞ?」



今度は、目を丸く私の髪を笑いながら、暁が梳く。
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