寵愛の姫 Ⅲ【完】
暁の存在に気が付いた在校生のざわめきの声を聞きながら、私達が辿り着いた先は、理事長室とプレートに書かれた部屋の前。
「…………ねぇ、暁?」
私は、隣の暁を見上げる。
「ん?」
「何で、校内の中をそんなに詳しいの?」
一度も迷う事なく、暁の先導で辿り着いた理事長室。
どう考えても、校内の中を熟知しているとしか思えないんだけど。
「……あぁ。」
私の疑問を理解したのか、暁がふっと口角を上げた。