寵愛の姫 Ⅲ【完】


「あぁ、よく来たね。」



ドアを、開けた暁を視界に入れたその人は、温厚そうな顔を破顔させて椅子から立ち上がった。



「高崎くん、久しぶりだね。」


「えぇ、ご無沙汰しておりました。」


「いやはや、元気そうでなりよりだ。」




満足そうに頷いたその人は、ゆっくりとこちらに近付く途中で、私に視線を向ける。



「君が、水瀬さんかな?」


「……はい、水瀬莉茉です。」


「そうですか。水瀬さん、私が理事長の牧田(まきた)です。」



一礼した私に、牧田理事長は応接用の椅子に座るよう、手で促した。
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