寵愛の姫 Ⅲ【完】



「……前田。」


「うん?」


「別にお前は、そこまで呼び方を気にしないだろ?」



何度か前田に直すよう言われたが、それでも強制された記憶はない。



「えぇ、そうですが、高崎くんに一度でも先生と呼ばれてみたいんですよ。」


「…………気が向いたらな。」



ないだろうけど。



心の内で呟く。





卒業してんだし、今さら先生とか関係ねぇたろ。



呼ぶ必要性がねぇ。



「あ、暁……?」
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