寵愛の姫 Ⅲ【完】



「それでは、水瀬さん。」



「………はい。」



「そろそろ、教室の方へ向かいましょうか。」



「……分かりました。」



硬い表情に戻ってしまった莉茉が、鞄を手に取り椅子から立ち上がる。



「………暁、行ってきます。」


「あぁ、頑張ってこいよ?」


「……うん。」



緊張を滲ませた顔で頷いた莉茉は、前田に促されるまま理事長室から出て行った。
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