寵愛の姫 Ⅲ【完】



「莉茉さん、凄く可愛い子だったね?」



先に車から降りた朔くんのお兄さんが振り返り、優しい顔で中へと差し伸べられた手。




それだけで、大事な存在なんだと分かる眼差し。





ゆっくりと、その手にほっそりとした指先が重なる。




車から現れたのは、遠目から見た私からでも、華奢で儚げな少女だった。



「朔くんのお兄さんが好きになるのも、頷けるよ。」



「まぁ、そうだけど……。」
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