寵愛の姫 Ⅲ【完】



そんなお兄さんの、あの表情。





全身で伝えてた。



大切なんだと。


莉茉さんの事が愛おしいだって。



「きっと、莉茉さんはとても幸せだね?」



思い。


誰かに愛される幸せは、言葉では言い表せないほどに尊いもの。




私も知っているから。



「そうだね、神無。」



にっこりと微笑んだ朔くんが、私越しに後ろを見た瞬間、その笑みが硬質なものへと変わった。
< 139 / 469 >

この作品をシェア

pagetop