寵愛の姫 Ⅲ【完】
「………朔くん…?」
私以外の人には、どんな時も作ったような笑顔をずっと絶やさないのに。
今の朔くんからは、びりびりとした緊張感が漂ってくる。
「ーーーー朔、今ちょっと良いか?」
その声にはっと私が後ろを振り返れば、この場にいるばすのない、天野先輩が佇んでいた。
「っ、」
驚きに目を見張る。
……………どうして、3年生の彼が、1年生の階に?
困惑する私の隣で、朔くんは悠然とした表情で天野先輩と向き合った。