寵愛の姫 Ⅲ【完】



「っっ、」



はっと息を飲む。





そうだ。


転校して来て、不安だろう彼女を1人には出来ない。






歯痒さに唇を噛む。



「神無、噛まないの。」



噛んだ私の唇に、朔くんの長い指が、気遣うようにゆっくりと這う。



「俺が戻るまで、彼女の事を見ておいて?」


「………分かった。」



宥めるように朔くんに頭を撫でられた私は、頷いてから掴んでいた制服から手を離した。
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