寵愛の姫 Ⅲ【完】


「………………朔くん…。」



じっと、去り行く朔くんの背中を見送る。





不安は拭えない。





でも。



『大丈夫だよ、神無。』



朔くんの、この言葉を信じよう。





彼が私に嘘を付くとは思えない。





それに、もうすぐ莉茉さんが来る。



「っ、大丈夫。」



ぎゅっと、手を握り締めた私は、消え行く朔くんに背を向けて教室へと足を進ませた。
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