寵愛の姫 Ⅲ【完】
「大丈夫ですよ、前田先生が付いているんですから。」
「………。」
大丈夫、ねぇ。
まぁ、あいつの事は嫌いじゃねぇし、信頼はしてる。
ただ、鬱陶しいんだよな。
人見知りがある莉茉が、直ぐに前田と仲良くなれるとは思えねぇ。
が、信頼が出来る先公はあいつしかいねぇんだよな。
「ーーーーー理事長、自分はこれで失礼します。」
小さく溜め息を吐き出した俺は、座っていた椅子から立ち上がる。
「もう、帰るのかね?」