寵愛の姫 Ⅲ【完】
小さい頃からの幼馴染みである大雅は、俺が気を許せる数少ない存在の1人だ。
この桜樺でも、ずっと同じクラス。
つまり、俺と大雅の担任が前田だった訳で。
「……………良かった、暁達に付いていかないで。」
その頃からの、犬猿の仲。
と、言っても大雅が勝手に苦手意識があるだけだしな。
それに気が付いている前田は、楽しんでちょっかいを出している節がある。
胸を撫で下ろす大雅を見て、俺は鼻で笑った。
「大雅、お前はいつまで前田に怯えてんだよ。」