寵愛の姫 Ⅲ【完】
「………。」
最後に天野先輩が呟いた言葉は聞こえなかった事にして、俺はにっこりと微笑んでスルー。
………………偽りの笑顔で。
うん、だって、俺は龍神に入る気は全くないし。
「まぁ、俺以上に兄の方が怖いと思いますけどね?」
話題を差し換えて。
軌道修正を謀る。
俺が心から笑えるのは、家族と神無の前だけ。
それ以外の他人は、どうでも良い存在として認識しているだけ。
そう、目の前の天野先輩だって、例外ではないんだよ。