寵愛の姫 Ⅲ【完】
「………………龍神の総長である貴方が、ですか?」
己の族の力を使う事に躊躇わないぐらいに。
目の前にいる天野先輩も、莉茉さんの愛情を乞い、渇望する1人って訳か。
ーーーそれが、手に入らないと知りながら。
「あぁ。」
天野先輩が、強い瞳を俺に向ける。
「朔、莉茉を守るのに人数は多い方が良いだろ?」
「えぇ、まぁ……。」
確かに、龍神の力は魅力的だ。
莉茉さんを守るのに、人数が多い方が良いだろう。
………だが、
「天野先輩。」
「うん?」