寵愛の姫 Ⅲ【完】
「龍神の先代総長として未だに絶大な支持を得る暁さんの寵妃たる莉茉は、俺達にとっても大切な存在だ。」
意志の強い瞳が、俺を見据える。
未だにに、多くの伝説が語り継がれている兄貴。
この桜樺内でだって、その名前が知れ渡っているほど、有名だ。
兄貴の一言で動く人間は、計りしれない数になる事だろう。
「それに……。」
天野先輩の目が伏せられる。
「俺は、龍神の姫制度をこれからも使うつもりはねぇ。」
握り締めた天野先輩の手に、ぐっと力が入った。