寵愛の姫 Ⅲ【完】


「朔、急に呼び出して悪かったな。」



「いいえ、今日しか会う暇がありませんでしたからね。」



天野先輩が、春休み中に俺と接触を取る事は不可能だったろうから。



「では、失礼します。」



小さく頭を下げた俺は、天野先輩に背を向けて歩き出す。





最高の手土産。



ジョーカーと言う名の切り札、天野叶を手に入れて。




人知れず、自分の口角がゆるりと上がった。
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