寵愛の姫 Ⅲ【完】
「彼女は、今日からこの1年А組に転入した水瀬さんです。」
そこで、前田先生に視線を向けられる。
「水瀬さん、皆さんに自己紹介をお願いしますね。」
「………………はい。」
気遣うような目をする前田先生に頷いた私は、覚悟を決めた。
さぁ、始めよう。
新しい、一歩を。
「……………。」
一度、目を閉じ深呼吸。
ーーーー暁、私に力を頂戴ね。
心の中で語りかけ、弱気になる自分を叱咤した私は、ゆっくりと目を開けてクラスメイト達に向き合った。