寵愛の姫 Ⅲ【完】
ーーーー痛い。
理不尽な悪意も。
勝手な妬みの視線さえ、私を闇に突き落とすには十分だった。
「っ、暁……。」
………会いたいよ。
久しぶりの悪意ある声に、心が締め付けられるようで、苦しくて痛い。
………………私は、暁の側にはいない方が良いの?
『莉茉、俺に愛されている事だけは疑うな。』
ふわりと香る、暁と同じ香水と声が、闇に引きずられそうだった私を救い出す。
「っっ、」
………あぁ、忘れていた。
暁の気持ちや、愛情を疑わないって、約束したじゃないか。