寵愛の姫 Ⅲ【完】
「………………あの…。」
ぼんやりと、空を見上げていた私に、前に座っていた子が振り返る。
その気配に視線を向けた。
「………?」
視線を向けられた目の前の彼女は、不思議そうな私に、にっこりと微笑む。
そこに、悪意はなく。
純粋な好意が見てとれた。
他のクラスメイトとは、全く違った笑み。
「ねぇ、私と友達になってくれませんか?」
「………え?」
唐突な言葉に、何を言われたか理解が遅れた私は、呆然と目の前の彼女を凝視した。