寵愛の姫 Ⅲ【完】
「彼女は、今日からこの1年А組に転入した水瀬さんです。」
クラス全員の視線が彼女へと集まる。
華奢で、ほっそりと長い手足。
儚げで。
寂しげな、その表情。
近くで見た莉茉さんは、やっぱり朔くんのお兄さんが惚れてしまうも無理がないほどに、とても綺麗だった。
「………、水瀬莉茉、です。」
前田先生の紹介の後に、小さく頭を下げた莉茉さん。
その姿さえ、クラス中の視線を釘付けにした。
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