寵愛の姫 Ⅲ【完】
「………………ねぇ、あの子って、今朝、高崎さんの車から降りて来た人じゃない?」
「確かに、彼女かな?」
「えぇ、私も高崎さんの事が好きなのに!」
自分の席へと歩き出した莉茉さんに対して、聞こえてくるクラスメイトの悪意の囁き声。
「でも、あの子も一回ヤったら、高崎さんに飽きられて捨てられるんじゃないの?」
くすりと、嘲笑うかのような声に、かっと、私の目の前が朱に染まる。
「っっ、」
酷いっ。
貴方達に、莉茉さんに対して、そんな事を言う権利なんて、何一つないのに。
くすくすと笑う声が、酷く不快だった。