寵愛の姫 Ⅲ【完】

鈍感




「そう、なの?」



朔の彼女だと言う篠崎神無は、小さく幸せそうに、はにかむように笑った。





その顔が。



恥ずかしそうな表情が、事実なんだと物語っていた。



「だから、私とも仲良くしてもらえませんか?」



差し出される手。




緊張に震えるその姿に、目を細めた。





私に会えるのを楽しみにしていたんだと、微笑む彼女。





嬉しかった。



私の存在を否定せず、待っていてくれた彼女の事が。
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