寵愛の姫 Ⅲ【完】
「………………、莉茉には、分かるんだ。」
驚いた。
今まで、朔くんの笑顔の違和感に、誰一人と気が付かなかったのに。
「うん、分かるよ。」
「ふふ、莉茉は凄いね。」
周りを良く見てる。
小さな、その変化を。
………………もしかしたら、莉茉は人の顔色や表情に敏感なのかも知れない。
「凄い?」
不思議そうな顔をした莉茉の視線が、朔くんから私へと向けられる。
心底、意味が分からないと言わんばかりの表情で。