寵愛の姫 Ⅲ【完】
「うん、莉茉は凄いよ。」
クラスメイトだって気が付かない、朔くんの笑顔の微妙な違いが分かるんだから。
「どうして、私が凄いの?」
「だって、短時間で朔くんの笑顔の違いに気が付いたんだもん。」
「え?」
莉茉が首を傾げる。
「他の人は、気が付かないの?」
「…うん。」
「………………そう、あんなに分かりやすいのに。」
唇を尖らせる莉茉に苦笑いを落として、ゆっくりと男子生徒達と話す朔くんへと視線を向けた。