寵愛の姫 Ⅲ【完】
友達でもないし。
恋人でもない。
ただの知り合いが一番、私達には近い関係なのかも知れないな。
「………………、そっか…。」
曖昧に笑う私に、神無がそれ以上、叶くんとの何かを聞く事はなかった。
………優しい子なんだと思う。
でも。
「………うん、叶くんとは、ちょっと前からの知り合い。」
それだけ言って、私は口を噤む。
叶くんとの事を、誰か他の人に話す気には、今はまだなれなかった。